株式会社ファルマクリエ神戸

Dr. TANIGUCHI's Report

Dr. TANIGUCHI's Report 谷口先生レポート

REPORT 09

糖化とは?基礎知識

この記事を読めば、“糖化”の基礎とセルフケアの方向性がわかります。
本シリーズでは、加齢や生活習慣病、肌老化に深く関わる「糖化(グリケーション)」を毎回一つの切り口で解説します。
今回は糖化の仕組み、酸化との違い、体への影響を概説します。

1. 糖化のメカニズム

1.1 そもそも糖化とは?

糖化のメカニズム

 糖化(glycation)とは、還元糖(グルコース・フルクトースなど)がタンパク質・脂質・核酸の アミノ基非酵素的に反応し、最終糖化産物(AGEs)を形成する一連の化学反応です。食品で言えばパンの焦げ目に似た「メイラード反応」が体内でゆっくり進んでいるイメージです。



ワンポイント 肌のシミもホットケーキの焦げも、実は同じ“糖化”。

1.2 糖化が起こるプロセス

段 階 代表生成物 特 徴 キーワード
初 期 シッフ塩基 可逆・数時間〜日 "瞬間接着"
中 期 アマドリ化合物 (例: HbA1c) 安定化・週〜月 アマドリ転位
後 期 ジカルボニル化合物 → AGEs 不可逆・架橋 Hodge/Namiki/Wolff 経路
※表は横へスクロールします
ワンポイント いったんできたシミ(AGEsの沈着)はなかなか消せないのは、不可逆反応だから。予防が大事。

2. 酸化と糖化の違い 〜共通点と相違点〜

視 点 酸 化 糖 化
主役分子 活性酸素種(ROS) 還元糖・アルデヒド類
ダメージ対象 DNA, 脂質, タンパク質 主にタンパク質(架橋)
生成物 過酸化脂質, 8-OHdG など AGEs(褐変・蛍光)
相互作用 ROS ↑ → 糖化促進 AGEs ↑ → ROS産生 ↑
イメージ “サビ” “コゲ”
※表は横へスクロールします
酸化と糖化
ワンポイント 酸化と糖化は別反応ですが 互いを加速 し“負のスパイラル”を形成します。
切っても切れない夫婦のような関係。対策する場合は、両方しなければならない。

3. 糖化が起きやすい体内・生活条件と対策

3. 1 糖化を促進する因子

糖化促進因子

 糖が増えれば糖化も加速し、糖が少なければ糖化は起こりにくくなります。
 そのため、身体のなかに糖が増える状態(血糖値が高くなる)糖尿病では、身体特に、糖を全身に運ぶ血管を構成する組織が最も糖化を受けやすくなります。糖尿病では血管が豊富な腎臓、網膜が最初に障害されることから、糖尿病は血管病と言われることがあります。

糖化促進因子 背景メカニズム
高血糖・糖尿病 高血糖×時間 = AGE 生成速度 ↑
高GI食 / 揚げ物 食後血糖スパイク+外因性 AGE 摂取
酸化ストレス ROS がジカルボニル化合物生成を促進
喫煙・紫外線・加齢 抗酸化能低下
※表は横へスクロールします

3.2 糖化を抑える対策

・血糖管理:低GI食、食後の軽い運動、十分な食物繊維。
・抗酸化:緑茶カテキン・ビタミンC/E などで活性酸素を抑制。
・生活習慣:禁煙、紫外線対策、質の良い睡眠。

ワンポイント 正しい食事の習慣を身に着ける。
ドカ食いは一番よくない。一日3回きっちりと食べる
食べる順番も大事 肉、野菜、最後に炭水化物(糖)にすることが大事

4. 糖化が体に及ぼす影響

まとめ

糖化が体に及ぼす影響

糖化は様々な組織で起こり、機能を傷害します。

Take-home Message

・糖化は完全に防げないが、その速度はコントロールできる。
・血糖管理と抗酸化対策を一緒に行う。
・生活習慣改善

次回は、糖化の負の作用をいかに抑制するかを具体的に解説します。